バスケットボールが指にあたりケガをしました。第1関節が痛く指がピンと伸びません。どうしたらいいでしょうか? (小学6年、女子)

突き指(マレット指)

一般的には「突き指」という状態でしょうが、医学的には靭帯損傷・骨折・腱(スジ)断裂・脱臼・脱臼骨折などいろいろな種類があります。この方の場合おそらくマレット指と言われる状態と思われますので、今日はこのお話をしましょう。
 マレット指は槌指(つちゆび)とも言われます。野球、バレーボール、バスケットボールなどの球技に多くみられ、手のスポーツ外傷の約半数を「突き指」が占めます。指を伸ばす腱(伸筋腱)に引っ張られて腱が切れたり剥離骨折を起こしたりして、第1関節が伸びなくなります。指先にボールが当たって起こる事が多いです。腱断裂か剥離骨折かはレントゲンを撮ればすぐにわかります。
 治療は腱断裂や剥離骨片の小さいものは手術をしないで固定をして保存的に治します。固定期間は結構長く6〜8週間必要です。この間のランニングや下肢の筋トレや体幹系の筋トレ等はどんどん行って構いませんが、ボールを使うことは出来ません。剥離骨片が大きいものや脱臼をしている場合は手術が必要です。様々な方法がありますがいずれも入院をせずに外来で行えます。
私は針金のようなワイヤーで固定する方法を良く行っています。私が行った手術例をご紹介します。

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写真(右)はケガをした時のレントゲンで、右小指で大きな剥離骨折を認めます。そのため手術を行い写真(中央)が術後のレントゲンです。6週間経って骨がついたので、ワイヤーを抜きその後撮ったのが写真(左)です。リハビリを行い今ではすっかり良くなっています。
 この手術をした方のように、ケガをしてすぐに来院され適切な処置が施されれば、機能障害や変形を残す事はありません。“突き指”と自己判断することは避けた方がいいでしょう。ケがした直後の的確な診断と早期固定がとても重要です。たかが“突き指”されど“突き指”ですかね。