運動会のリレーの練習中に股関節が急に痛くなり足が持ち上げられません。どうしたらいいでしょうか? (中学2年、男子)

股関節の痛み(骨盤の剥離骨折)

image成長期は骨が弱く筋肉が強いために、ダッシュやジャンプをすると、骨盤が剥離骨折を起こす事があります。今回はこの骨盤の剥離骨折についてお話しましょう。
 骨盤の剥離骨折は大きく分けて3つあります。今回これからお話する上前腸骨棘の骨折、大腿四頭筋(ももの筋肉)による下前腸骨棘の骨折、ハムストリング(膝を曲げるもも裏の筋肉)による坐骨の骨折です。この中でもっとも頻度が高いのが股関節の上の上前腸骨棘の剥離骨折です。股関節を曲げる筋肉(大腿筋膜張筋と縫工筋)が強く骨を下に引っ張るために骨折を起こします。サッカーのキックでも起こる事があります。小学校高学年から中学生によく起こります。
 症状は股関節の痛み、圧痛(押しての痛み)や痛みのため寝た状態で足が持ち上げられない事があります。
大腿四頭筋の肉離れと似ていますが、レントゲンを撮ればすぐにわかります。レントゲンで大きな骨片やズレの大きいものもありますが、ほとんどの場合手術は要りません。ただしスポーツの全面的な禁止が必要です。
 リハビリテーションのプランとしては、初めの2週間は安静にして低周波治療等の物理療法を行い、2週後からストレッチや軽い筋トレなどの理学療法(運動療法)を始めます。当院では理学療法士が個別のリハビリプランを作って治療にあたります。4週経ちましたらジョギングを開始し、8週間(約2カ月)で完全に復帰となります。
 定期的にレントゲンを撮って骨のズレが変わっていないか、骨がくっついてきているかをチェックします。
 以上の事がきちんと守れれば運動に支障が出るような事はありませんのでゆっくり治療する事をお勧めします。