スネの外側を試合中に蹴られ、夜になってから痛みがどんどん強くなり、足がパンパンに腫れてしびれもあります。どうしたら良いでしょうか?
(中学3年男子、サッカー部)

コンパートメント症候群

これは放って置かないほうがいいでしょう。急性のコンパートメント症候群(筋区画症候群)と思われます。今回はコンパートメント症候群についてお話ししましょう。
 下腿(膝から下)の筋肉は筋膜という厚い膜に囲まれています。ここを強く打撲して内出血などで腫れて来ると、厚い筋膜に囲まれているため中の圧が高くなります。すると循環不全と言って血のめぐりが悪くなり、コンパートメント症候群となります。これがひどくなると筋肉や神経に壊死が起こり、放置しておくと重篤な障害が残ります。

レントゲン画像症状は激しい痛み、圧痛(押しての痛み)、筋肉が固くなる、ストレッチをすると痛みが増す、足の甲や裏がしびれると言ったものがあります。
 内圧測定と言って、筋肉に針を刺して圧を測ります。正常は10
mmHg以下なのでそれ以上ならコンパートメント症候群と診断します。50mmHg以上は緊急手術が必要になりますが、私の経験的に緊急手術が必要な方は来院した時に100mmHg以上の事が多いです。
 治療は50mmHg以下の場合はまずは安静にし適度なアイシングと心臓の高さ位に足を挙上し、飲み薬や低周波などを行います。50mmHg以上の場合緊急手術を行います。筋膜を膝から足首まで全て切開します。発症後24時間以内(できれば12時間以内)に手術をしないと、筋肉や神経は元に戻らなくなります。整形外科領域で数少ない待てない手術の一つです。手術後は早めにリハビリ(理学療法)を開始します。術後1カ月でジョギング、2カ月でランニング、3カ月で復帰となります。
 手術は本人にとっても御両親にとってもできれば避けたいと思われるでしょうし、それは私もよくわかっていますが、これは迷わずに早めに手術する事をお勧めします