膝のお皿の骨が2つに分かれていると言われました。運動をすると痛くなります。
どうしたらいいでしょう?(高校1年、サッカー部)

膝のお皿の分裂と痛み(有痛性分裂膝蓋骨)

膝蓋骨(お皿の骨)が分かれていて痛みの出る方は、時々いらっしゃいます。有痛性分裂膝蓋骨と言います。今回はこの事についてお話します。
 膝蓋骨が分かれる原因として、骨の成長の段階での融合不全による説と疲労骨折による説と2つありますが、はっきりした原因はわかっていません。15歳以下に多く、打撲やスポーツでの負担がきっかけとなって発症することが多いようです。2つだけでなく3つや4つに分かれている人もいらっしゃいます。
 症状は膝蓋骨の外側の上の痛み、圧痛(押しての痛み)があり、ストレッチや足をふんばった時に痛みが増します。

レントゲン写真

診断はレントゲンを撮るとすぐにわかります。ただ、レントゲンを撮った時に偶然見つかる方もいらっしゃいますが、症状がなければ治療の必要はありません。
 治療は保存的に行います。スポーツを休止し、湿布や低周波治療は一般的に行われています。大腿四頭筋(ももの筋肉)のストレッチは痛みを伴いますが、痛みを取る効果は期待出来ます。約2カ月の安静期間が必要と思われますが、これで治らずスポーツを続けたいならば手術を行った方がいいでしょう。手術は骨を取る方法とくっつける方法がありますが、くっつかない事もあるので私は全例摘出術(取る方法)を行っています。術後はギプスの固定を1週間程行い、その後筋トレや膝の曲げ伸ばしの練習を開始します。術後6週でランニングは開始でき、2カ月でスポーツに復帰できます。
 分裂膝蓋骨は両側にある事が多い(約半分の人が両側性)のですが、痛みがなければ予防的にストレッチを行うだけでいいでしょう。