肘の内側が痛くなり小指がしびれるのは、尺骨神経が圧迫される事が原因として考えられます。これを肘部管症候群と言います、今回はこの事についてお話しましょう。
肘の内側をイスの背にぶつけたりすると、小指の先まで電気が走るような経験をされた方も多いと思います。これが尺骨神経です。この尺骨神経は内くるぶしの後ろで、皮膚から浅い所を通っているため障害を受けやすいのです。ここで靭帯や筋肉、骨などで神経が圧迫されるとこの方のような症状が現われます。スポーツ種目としてはバレー、テニス、野球、柔道によく見られます。
症状は肘内側の痛み、薬指小指のしびれがあり、つまむ力が弱くなります。進行すると手の平や甲の筋肉がやせてきます。さらに進行すると薬指と小指が伸ばせなくなります(かぎ爪指変形)。写真の方は全身麻酔をかけても指は伸びませんでしたが、手術をして伸びるようになりました。肘の内側を軽くたたいて小指にひびいたり、肘を曲げたままにして小指のしびれが出ると肘部管症候群による尺骨神経麻痺と診断します。
治療は肘に低周波をかけたり、湿布やビタミンB12の内服がいいでしょう。進行した場合手術が必要になります。圧迫の原因となるものを切ったり、神経を内くるぶしの前に持ってきたりします。手術をするとスポーツ復帰まで3カ月かかります。ただ手術になる方は少ないので、アタック等肘に負担のかかる運動は休み、早めに治療する事をお勧めします。また肘を深く曲げない事や寝る時に肘が身体の下に入らないように、日常生活も気を付けて下さい。 |