これだけで診断をするのは難しいのですが、踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)が考えられます。別名はSever病と言い、成長期に起こるスポーツ障害で、前々回お話したオスグット病の次に多いb成長痛cのひとつです。今回はこの踵骨骨端症についてお話しましょう。
スポーツをよくする8〜12歳の男子に多くみられます。原因は、かかとの骨にくっついているアキレス腱が運動などで強く引っ張られるために起こったり、かかとに直接の圧迫力が加わるために起こると考えられています。
症状はかかとの痛みや押しての痛みで、朝方に悪く、少し運動すると痛みが軽くなり、運動をしすぎると痛みが強くなることが多いです。
レントゲン検査では骨端部(骨が成長する所)の硬化や分節化をみることがありますが、正常の発育過程であると指摘するドクターもいます。
治療として、整形外科のほとんどの教科書に「スポーツ禁止」と書いてありますが、私の経験上スポーツを禁止する必要はないと思います。もちろん痛めたばかりで症状が強い時は休まなければいけませんが、休むと言っても走ったり跳んだりすることさえしなければ、体幹系のトレーニングといって腹筋や背筋の筋トレや全身のストレッチなどは行っても支障はありません。症状の強い時はアイシングや湿布などが必要です。ある程度痛みがおさまってきましたら、底の厚いジョギングシューズなどで徐々にジョギングは始められます。ただしスパイクの使用はお勧めできません。
当院ではインソール(靴の中敷)を作りスパイクの中に入れて治療しています。ひとりひとりの足型をとってパッドを工夫して作っています。これにより早い人で1週間ほどで痛みがなくなり、再発もしていません。
踵骨骨端症はオスグット病のように後遺症を残すことは少ないので、きちんと管理すれば短い期間の安静でスポーツに復帰できると思います。 |