柔道で投げられた時に肩から落ちて肩鎖関節脱臼と診断されました。どのようなものか具体的に教えて下さい。(高校1年男子)

肩鎖関節脱臼

images肩鎖関節脱臼はラグビー、アメリカンフットボール、柔道などのコンタクトスポーツに多くみられるスポーツ外傷の一つです。
肩の外側から落ちた時に起こります。怪我の仕方は鎖骨骨折とほぼ同じです。損傷の程度によって治療法が異なります。
 T度は軽症で捻挫の状態で靭帯の断裂はありません。治療法はアイシングや湿布程度で大丈夫です。痛みが強い場合には三角巾を使用します。痛みが取れた時点で肩を動かす練習をして、怪我をして1〜2週で復帰して構わないでしょう。

U度は中程度で靭帯の断裂と亜脱臼を認めます。

V度は重症で靭帯の断裂と脱臼を認めます。この2つの違いは負荷レントゲン撮影を行わないと誤診する可能性があります。怪我をしていない方の肩の負荷レントゲンも比較のため撮り、U度かV度かの診断を下します。U度の治療法は三角巾固定を3週間します。その後肩を動かし始め怪我をして4〜6週で復帰できます。V度の場合手術で治すか、手術をしないで治すかは議論が多く未だ統一した見解がないのが現実です
手術をしない場合は放置する方法と装具やテーピングを組み合わせて治療する方法がありますが、私は放置する方法で治療しています。痛みのあるうちは低周波等を行い、痛みが取れたら筋トレ等を始めます。但しこの場合変形が残ります。もちろん機能上は全く問題ありません。
 手術をする場合は靭帯を移行して金属でとめる方法を行っています。上半身をよく使うスポーツ選手に行う事がありますが、私個人としてはあまり手術は行っていません。その理由として長期的にみてあまり差がないので、差がないなら手術をしなくてもいいと思うからです。
 元柏レイソルで韓国代表の黄善洪選手は、日韓ワールドカップの1カ月前にV度の肩鎖関節脱臼になりましたが治療法は放置でした。そしてワールドカップで大活躍しました。
 以上のように損傷の程度を知る事が一番大事です。