意外と知られていない湿布の実態

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診察をしていて感じる事ですが、湿布に関して大きな勘違いをされている患者さんを多く見かけます。そこで今回は湿布についてお話しします。
 以前アイシングのお話をしましたが、患者さんに「冷やして下さい」と言うと、「湿布で冷やしてますという返事が返って来ます。湿布は冷やすものと考えている方が多いようですが、これは間違いです。病院でもらった湿布薬の袋をよく見て下さい。「経皮吸収型鎮痛消炎貼付剤」と書いてあるはずです。つまり湿布は「皮膚から吸収される貼る痛み止め」です。製薬会社によって含まれている痛み止めの成分は違いますが、基本的には同じで湿布は冷やす効果はありません。パップ剤は水分を含んでいるため、皮膚の表面温度は2〜3度下がりますが内部は冷えません。冷やすなら氷で15分〜20分冷やし、その後に痛み止めの湿布を貼ると効果的です。
 また「冷湿布、温湿布のどちらが良いですか?」と聞かれる事もよくありますが、冷湿布は普通に湿布温湿布は温感湿布と言います。その理由として貼った時に冷たい感じがするか、しばらくして温かく感じるかだけで、貼って冷えるとか温まる事はほとんどありません。では何が違うのかと言いますと、普通の湿布にカプサイシンなどの唐辛子のエキスをしみ込ませたものが温感湿布で、急性の外傷には向いていませんが、慢性の痛みに関してはどちらでも良いと思います。各自の判断でお好きな方を選ばれると良いでしょう。
 また、テープ剤とパップ剤がありますが、これは貼る部位によって選ぶと良いでしょう。動きの大きい関節の近くはテープ剤、あまり動きのない所や広く貼る場合はパップ剤をお勧めします。ニオイのない湿布剤もありますので、事前に医師に希望を伝えると良いと思います。最後にあくまでも薬ですので貼り過ぎには注意しましょう。