バレーボールをやっているのですが、スネの疲労骨折と言われ他の病院に通院しています。3カ月になりますがまだ治りません。くわしく教えて下さい。

(中学2年男子)

脛骨の疲労骨折

●運動のしすぎに要注意!

スネ(脛骨)の疲労骨折は大きく分けて3つあり、疾走型・跳躍型・後内側型に分けられます。スポーツの内容によって違いがあります。疾走型は長く走っていると起こり陸上の中長距離選手に多く、跳躍型はジャンプ動作の多いバレーボール、バスケットボール、陸上の短距離に起こります。この方はおそらく跳躍型だと思いますので、今回はこれについてお話します。

img疲労骨折は骨が未熟でスポーツの盛んな10歳代に多く、症状は運動をした時の痛みが強く、歩いている時や安静にしている時の痛みはほとんどありません。跳躍型の場合脛骨のちょうど真ん中の内側に痛みがあり、押すと痛くて腫れもあります。治療方針は局所の安静を図るためにスポーツを禁止します。普通の骨折とは違うので日常生活の制限は無く、ギプスや足をかばう事も必要ありません。
 ただしこの脛骨跳躍型疲労骨折は安静期間が3〜6カ月必要です。4カ月の安静で治る確率は50%と、とても治りにくいのは事実です。安静で治らない場合は手術を行ないます。手術は骨折している所を大きく取り、腰から骨を取って植える植骨術が一般的に行なわれていましたが、リハビリテーションを含めスポーツ復帰まで術後4〜5カ月かかります。そのため最近アメリカでは髄内釘といって、脛骨の中に芯棒を入れる手術を行なっています。ケガでの骨折にはポピュラーな方法ですが、疲労骨折には今まで使われる事はありませんでした。日本でも少しずつ行なわれて来ていて、レイソルではないんですが他のJ1のチームの選手でこの手術を行ない、1カ月で復帰した例もあります。以前は長期間での経過が解っていなかったので一般の方にはお勧めしていませんでしたが、近年は比較的成績も安定し一般の方にも行うようになって来ました。
 このように疲労骨折は、一度なってしまうとなかなか大変です。クラブの監督、コーチや御両親などが早めに気付き、運動を止めさせたり専門医に連れて行く事が重要だと思います。このまま運動のし過ぎが続くと世界に通用する一流選手は出なくなってしまうような気がします。