中学2年の息子がいるのですが、スノーボードを始めたいようです。怪我が心配です、どのような事に注意させたら良いでしょうか?  (43歳・主婦)

ウインタースポーツの外傷

 ここ10年でスノーボードは急速に普及しており、ゲレンデではスキーヤーよりも多くなりました。今回はスノーボード外傷についてお話ししましょう。
 スノーボードによる外傷はスキーの約5倍も多く、特に逆エッジ現象が起こった時に発生しやすいです。その内の70%が上半身に起こります。特に気を付けたいのが頭部の外傷です。急性硬膜下血腫と言って頭蓋骨の中に血がたまり脳を圧迫します。場合によっては脳外科での手術が必要になる事もあります。記憶がな
い、頭痛がずっと取れない、吐いている、ボーッとしているなどの症状がある場合は脳外科を受診して下さい。
 整形外科としては、足が固定されているため転倒した時に手を着くことから、肩・肘・手首の怪我が多いのが特徴です。

このレントゲンはフロントサイドで手の平から手を着いたため、手首の骨折が起こりました(1)

(2)が整復してギプス固定を行った状態です。
中には手術が必要な外傷もあります。

 

どういう方が怪我をしやすいかを統計で見ると、始めて2年以内の初心者の方が圧倒的に多く8〜9割を占めます。ただ心配なのは怪我をした初心者の約半数の方は「自分は中級者」と思っています。そこを勘違いしないように注意した方が良いでしょう。またスクールに入って正しい転び方を教えてもらい、柔らかい雪質のゲレンデで練習し、逆エッジ現象を克服出来るまでは無理をしないようにして下さい。また緩斜面でも死に至る頭部外傷も起こっていますので、緩斜面だから大丈夫と油断しない事も大事です。